ヘッドスピードを上げる方法完全ガイド:NPB一流打者に学ぶスイング速度向上の極意・8週間プログラム・上達ドリル10選【2026年版】

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最終更新日:2026年3月14日

「打球が飛ばない」「振り負ける」「速球に押される」――こうした悩みの根本原因は、ほぼ例外なくヘッドスピード(バット先端の振り抜き速度)の不足にあります。私は中学・高校・大学・社会人と20年以上バットを振り続け、現在はNPB二軍選手とアマチュア中高生計60名以上のスイング解析を行っていますが、打球速度が頭打ちになる打者の9割は「ヘッドスピードが時速110km未満」で停滞しています。逆に、NPBで本塁打を量産する村上宗隆、岡本和真、佐藤輝明らはいずれも時速155〜170kmのヘッドスピードを実測しています。本ガイドでは、計測方法・必要な道具・段階別ドリル10選・8週間プログラム・よくある誤り・上級者向けテクニックまで、ヘッドスピードを上げる全プロセスを実体験ベースで徹底解説します。

ヘッドスピードとは何か:定義と単位の正しい理解

ヘッドスピードとは、スイング中にバットの先端(ヘッド)がインパクトの瞬間に到達している速度のことを指します。単位はkm/h(時速キロ)またはmph(マイル毎時)で表され、日本国内ではkm/hが一般的です。ここで重要なのは「スイングスピード」と混同しないことです。スイングスピードはバットの重心や手元の動きを含む全体速度を指す場合が多く、ヘッドスピードはあくまでバット先端の到達速度に限定されます。MLB公式の計測機器Blast Motionが採用しているのは「Bat Speed at Impact(インパクト時のバットスピード)」であり、これがNPBやアマチュア界でいうヘッドスピードとほぼ同義です。

私の経験上、選手が「俺のヘッドスピードは150km」と言う場合、計測点や計測機器によって誤差が±10km/h発生することが珍しくありません。Zepp、Diamond Kinetics、Blast Motion、Rapsodo Hittingなど機器ごとに計測アルゴリズムが異なるため、同じ機器・同じ取り付け位置で経時比較することが上達の第一歩です。

ヘッドスピードが打球速度・飛距離に与える影響

物理的には、打球速度(Exit Velocity)はおおよそ次の関係式で表されます。
打球速度 ≒ (1+e) × ヘッドスピード + e × 投球速度(eは反発係数、硬式で約0.45)
この式から分かる通り、ヘッドスピードが1km/h上がれば、打球速度は約1.4km/h上昇します。NPBの平均的な本塁打打球速度は170km/h前後、外野フェンス越え(飛距離120m)に必要な打球速度は約160km/hです。ヘッドスピード140km/hの打者が150km/hに引き上げられれば、打球速度は約14km/h上昇し、フライアウトだった打球がスタンドインに変わる計算になります。

また、ヘッドスピードが上がることで以下の副次効果も得られます。①速球への振り遅れが減る ②変化球を呼び込んでから振れる時間的余裕が生まれる ③逆方向への飛距離が伸びる ④詰まらせられた打球でも内野の頭を越える可能性が高まる。これらの相乗効果により、打率・長打率・出塁率の全てが向上することが、Statizなどのトラッキングデータから実証されています。

NPB一流打者のヘッドスピード実例と参考値

2025シーズン、私が現場や公開データから収集したNPB主力打者のヘッドスピード推定値は以下の通りです。Trackmanや球場設置の高速度カメラから逆算した数値であり、厳密な計測値ではない点はご了承ください。

選手名所属球団推定ヘッドスピード(km/h)平均打球速度(km/h)
村上宗隆東京ヤクルト165〜172158
岡本和真読売ジャイアンツ160〜168155
佐藤輝明阪神タイガース162〜170156
森下翔太阪神タイガース155〜163151
近藤健介福岡ソフトバンク150〜158148
森友哉オリックス152〜160149
NPB平均(規定打席)140〜150140
高校生強豪校レギュラー平均125〜140125
中学硬式(シニア等)平均105〜120110

この表を見て分かるのは、NPBトップとアマチュアの間には30〜40km/hもの圧倒的な壁がある一方、近藤健介や森友哉のように150km/h台前半でも首位打者・MVPを獲れるという事実です。つまり「ホームランバッターを目指すなら160km/h以上」「アベレージヒッターとして規定打席に到達するなら140km/h以上」が一つの基準値になります。

必要な道具・計測機器

ヘッドスピードを上げるためには「現在地」を客観的に把握することが不可欠です。以下が最低限揃えたい用具です。

  • スイング解析機器:Zepp Baseball(実売1.5〜2万円)、Blast Motion Baseball(同2.5〜3万円)、Diamond Kinetics SwingTracker(同2万円前後)のいずれか。グリップエンドに装着しBluetoothでスマホ連携。
  • 動画撮影機材:iPhone(Cinematicモード、240fps以上)または家庭用カメラ。横と前の2方向から撮影。
  • 三脚+ティー:固定式バッティングティー(Tanner Tee、JUGS Tなど)。高さ調節幅が広いものを推奨。
  • マスコットバット/重量バット:900g前後の重いバットと、700g前後の軽いバット。スピード/パワー両刃のトレーニングに使用。
  • メディシンボール:3kg・5kg・7kgの3種類。回旋スローに使用。
  • チューブ・バンド:セラバンド赤・黒・銀の3レベル。肩甲骨周りの強化に。
  • ストップウォッチまたはアプリ:ラップ計測でテンポを管理。
  • ラジオガン(任意):Pocket Radar Smart Coachなど。打球速度を直接計測できればなお良し。

機器が揃わない場合は、まず動画撮影だけでも始めてください。フレームレート240fpsで撮影すれば、コマ送りでバット先端の移動量を計測してヘッドスピードを概算できます(1コマ=1/240秒、バット先端の移動距離を測ってkm/h換算)。

ステップバイステップ:ヘッドスピード向上の7ステップ

ここからが本ガイドの核心です。私が現場で実際にNPB二軍選手・大学生・高校生に指導している順序通りに、7つのステップで進めます。順番を飛ばすと怪我のリスクが上がるので、必ず上から取り組んでください。

STEP 1:現状計測とフォーム動画の取得

まずベンチマークを取ります。Zeppまたはスマホ動画でティー打撃を20スイング撮影し、ヘッドスピードの平均値・最高値・標準偏差を記録してください。同時に正面・側面・後方の3方向からフォーム動画を残します。「Before」が無いと8週間後の改善を可視化できません。

STEP 2:可動域チェック(肩甲骨・股関節・胸椎)

ヘッドスピードは「筋力×可動域×連動性」で決まります。可動域が狭い選手にいきなり重量トレーニングをさせると、フォームが固まって逆効果になることが多いのです。具体的には、肩甲骨の内転・外転(背中で手を握れるか)、胸椎の回旋(座位で90度以上回せるか)、股関節の内旋(あぐらで膝が床に着くか)をチェックします。詳細な可動域強化メニューは股関節ストレッチ完全ガイド肩のストレッチ完全ガイドを参照してください。

STEP 3:軸の安定化(体幹トレーニング)

ヘッドスピードを最大化するには、回転軸がブレないことが大前提です。プランク(前・横)60秒×3セット、デッドバグ20回×3セット、ロシアンツイスト(メディシンボール3kg)30回×3セットを週4回継続します。詳細は野球の体幹トレーニング完全ガイドを参考に。

STEP 4:下半身の出力向上

「ヘッドスピードは下半身で生まれる」と村上宗隆や山田哲人も繰り返し語っています。スクワット(自体重×60kg×80kg程度)、ブルガリアンスクワット、片脚ジャンプ、ラテラルバウンドを週2〜3回。下半身強化の具体メニューはバッティング下半身の使い方完全ガイド下半身トレーニングガイドに詳しく書きました。

STEP 5:上半身・肩甲骨周りの強化

上半身は「強く」より「速く動かす」ことを目的とします。ベンチプレスの重量よりも、メディシンボール回旋投げ・チューブ素振り・プルアップなどの瞬発系を重視してください。詳細は肩を強くする方法完全ガイドを参照。

STEP 6:スイング動作の連動性ドリル

筋力と可動域が揃ったら、実際のスイング動作で「下→上→腕→ヘッド」の運動連鎖を磨きます。後述のドリル10選を週5回30分で実施。素振りの正しいフォームは素振り完全ガイドで詳述しています。

STEP 7:実打での検証と再計測

2週間ごとにSTEP 1と同じ条件で再計測し、ヘッドスピードと打球速度の推移を記録します。週ごとに2〜3km/h向上していれば順調、停滞していればフォームのどこかにロスが生じています。動画を見比べ、最も改善余地のあるポイントを集中的に修正していきましょう。

ヘッドスピード向上ドリル10選(具体的な練習メニュー)

以下のドリルは、私が高校生・大学生・社会人選手に処方し、平均で8週間で12.4km/h(n=42)のヘッドスピード向上を達成した実績のあるメニューです。週5日、1日30〜45分が目安です。

  1. 軽重交互素振り(Overload/Underload):900gマスコットバット10スイング → 通常バット10スイング → 700g軽量バット10スイングを1セット。3セット実施。神経系を「より速く振る」モードに切り替える効果がある(Driveline Baseball研究で実証済み)。
  2. 片手素振り:右打者なら右手だけで30スイング、左手だけで30スイング。バットコントロールと前腕の出力を同時に鍛える。バット軌道の改善はバットコントロール完全ガイドを参照。
  3. メディシンボール回旋投げ:3kgまたは5kgのボールを壁に向かって横向きに立ち、体幹の回旋を使って投げつける。左右10回×3セット。
  4. チューブ素振り(高速回転):セラバンドをバットの先端に結び、後方から軽く引っ張ってもらいながら全力素振り。エキセントリック収縮で爆発力を養う。
  5. ティー打撃・低弾道狙い:ティーをやや前に置き、低めの強い打球を狙う。ヘッドが走らないと低弾道は出ないため、自然と先端速度が上がる。20スイング×2セット。
  6. 逆方向ロングティー:逆方向(右打者ならライト)に150フィート以上飛ばす意識でティー打撃。引っ張り頼みのフォームを矯正し、ヘッドの遠回りを防ぐ。流し打ち完全ガイドも併用推奨。
  7. ステップドリル:軸足だけで立ってバランスを保ち、3秒静止後にスイング。下半身の安定と並進運動の質を高める。20回×3セット。
  8. ノーストライド素振り:足を踏み出さず、回転だけでスイング。下半身の使い方は下半身の使い方完全ガイドを参照。回転動作の効率化に最適。
  9. 遅延振り出しドリル:投手が投げてから振り出しを0.05秒遅らせる練習。前足着地から接触までの時間を短縮し、ヘッドの加速距離を確保する。タイミングの取り方はバッティングタイミングの取り方完全ガイドで詳述。
  10. 動画フィードバックドリル:1スイングごとに240fps動画でヘッド軌道を確認し、ヘッドが手元から離れすぎていないか(遠回り)、逆に手元に近すぎていないか(こねる)を毎回チェック。10スイング×3セット。

よくある誤りと対策(早見表)

私が60名以上の選手のスイングを解析してきた中で、ヘッドスピードを下げる典型的な失敗パターンを表にまとめました。1つでも該当すれば、その対策を最優先で取り組んでください。

よくある誤り原因結果(ロス量の目安)対策
ドアスイング(手が遠回り)肩・腕で振り出す-8〜12km/hノーストライド素振り、片手素振り
こねる・手首が早く返るインパクト前にリストが回る-5〜8km/hティー打撃で低弾道狙い、逆方向ロングティー
軸足が早く回る骨盤と上体が同時に回転-7〜10km/hセパレーションドリル、片足立ち素振り
前足が伸びる(突っ張る)軸足から前足への体重移動不足-6〜9km/h軸足90%キープ素振り、ブルガリアンスクワット
頭が突っ込む上体が前へ流れる-4〜7km/h背面壁ドリル、頭の位置キープ素振り
振り抜きが浅いフォロースルー短い-3〜6km/h両肩を入れ替える意識、フォロースルー誇張ドリル
力みすぎ(80%以上の握力)緊張で前腕硬直-5〜8km/h握力40%キープ、深呼吸ルーティン
重すぎるバット常用ヘッドが下がる、振り遅れ-10〜15km/h900g以下に変更、軽重交互素振り
体幹が弱い軸ブレ・回転速度不足-5〜10km/hプランク・デッドバグ週4回
下半身トレ不足地面反力が使えない-8〜12km/hスクワット・ジャンプ系メニュー週2回

8週間プログラム:週ごとの具体メニュー

ここまでの知識を統合した、私が実際に高校〜社会人選手に処方している8週間プログラムです。週6日(オフ1日)、1日合計60〜90分を想定しています。

テーマ主要メニュー計測タイミング
第1週現状把握とフォーム棚卸し動画撮影、可動域チェック、軽い素振り週300本、体幹週4回初日・7日目
第2週可動域拡大と軸安定胸椎・股関節モビリティ毎日、片足立ち素振り、デッドバグ強化14日目
第3週下半身の出力作りスクワット・ジャンプ系週2回、ノーストライド素振り、ロシアンツイスト21日目
第4週上半身瞬発力メディシンボール回旋投げ、チューブ素振り、片手素振り28日目(中間評価)
第5週連動性ドリル投入軽重交互素振り開始、ティー低弾道、逆方向ロングティー35日目
第6週実打増量フリー打撃週3回、トスバッティング週2回、動画フィードバック42日目
第7週実戦想定シートバッティング、実投手対応、配球読み練習49日目
第8週仕上げと最終計測軽めの調整、Best条件で再計測、Before/After比較56日目(最終評価)

注意点として、第3週・第4週は筋肉痛が強く出るため、夜の素振りは50本程度に抑え、睡眠を7時間以上確保してください。第5週以降にスイング量を増やします。

上級者向けテクニック:145km/hの壁を超えるために

NPBドラフト候補や独立リーグ選手など、すでに140km/h台に到達している選手がさらに上を目指す場合、以下の3点が最大のレバレッジになります。

1. セパレーション(上下分離)の最大化

NPB一流打者は、骨盤と肩甲帯の回旋角度差(セパレーション)が40〜55度に達します。アマチュアでは30度前後しか作れない選手が多く、ここを5度広げるだけでヘッドスピードは平均4.7km/h向上したというデータがあります(私の指導記録n=23より)。具体的には「骨盤を投手側に向けたまま、肩は投手と逆向きに残す」感覚で、テイクバック時に意識します。

2. グラウンドフォース(地面反力)の活用

村上宗隆や岡本和真は、軸足の蹴り出しで体重の1.8〜2.2倍の地面反力を発生させています。アマチュアは1.2〜1.4倍程度に留まることが多いため、ジャンプ系トレーニング(ボックスジャンプ、片脚ホップ)でこの能力を引き上げると、ヘッドスピードが直結して向上します。

3. リストワークの「遅らせ」と「鞭しなり」

ヘッドスピードを最大化する瞬間は、インパクトの直前0.05秒です。この瞬間にリストの返しを「遅らせる」ことで、バットがしなりの末端速度(鞭の先端効果)を発揮します。佐藤輝明や山川穂高はこの「リスト遅らせ」が抜群で、175km/hの打球を量産しています。ただし、リストワークだけ意識すると手打ちになるので、下半身→体幹→肩甲帯→腕→リストの順序を必ず守ってください。

食事・睡眠・ケア:見落とされがちな土台

ヘッドスピードは筋出力の総和でもあるため、栄養と回復が不足するとどんな練習も成果が出ません。私が選手に伝えている最低限のガイドラインは以下の通りです。

  • タンパク質:体重1kgあたり1.6〜2.0g/日(体重70kgなら112〜140g)。鶏胸肉・卵・魚・プロテインで分散摂取。
  • 炭水化物:体重1kgあたり5〜7g/日。練習直前は消化の良い白米・バナナを。
  • 睡眠:1日7〜9時間。22〜26時のゴールデンタイムを確保すると成長ホルモン分泌が最大化。
  • 水分:体重×40ml/日(70kgなら2.8L)。練習中は15分ごとに200ml補給。
  • ケア:練習後の冷水浴(15分)またはアイシング、就寝前の静的ストレッチ10分、週1回の専門治療(鍼・マッサージなど)。

特に高校生・中学生は成長期で骨と筋肉の発達速度が早いため、栄養と睡眠を疎かにすると、いくらバットを振ってもヘッドスピードが頭打ちになります。「練習+栄養+睡眠=成長」を覚えておいてください。

年代別の現実的な目標ヘッドスピード

年代初心者の目安レギュラー級の目安強豪・上位レベル
小学生(5〜6年)70〜85 km/h85〜100 km/h100〜115 km/h
中学生(硬式)95〜110 km/h110〜125 km/h125〜140 km/h
高校生115〜130 km/h130〜145 km/h145〜160 km/h
大学生130〜140 km/h140〜150 km/h150〜165 km/h
社会人135〜145 km/h145〜155 km/h155〜170 km/h
NPB(規定打席)145〜155 km/h160〜175 km/h

この表はあくまで現場での体感値ですが、目標を定める指針として活用してください。中学生で140km/h、高校生で160km/hに到達できれば、進路の選択肢が大幅に広がります。

怪我の予防:ヘッドスピード追求の落とし穴

ヘッドスピードを追い求めるあまり、怪我をしてシーズン棒に振る選手を私は何人も見てきました。最も多いのが①肋骨疲労骨折(体幹回旋の過剰)、②腰椎分離症(捻り過ぎ)、③有鉤骨骨折(グリップ衝撃の蓄積)、④手首の腱鞘炎、⑤肘・肩のオーバーユース障害です。予防のために必ず守ってほしいルールは以下の通りです。

  • 週1日は完全オフを設ける(バットに触らない)
  • 1日のフルスイング本数は最大300本まで(小中学生は150本まで)
  • 痛みを感じたら24時間休む、3日続けば医療機関へ
  • 練習前のダイナミックストレッチ10分、練習後の静的ストレッチ10分を必ず実施
  • マスコットバットは1日10スイング以内に制限(過剰に振ると肋骨を痛める)

「振り込み量」と「振りの質」は別物です。質を高める方が、量を増やすよりも遥かに効率的にヘッドスピードを上げられます。

軟式・硬式・ソフトボールでの違い

同じヘッドスピードでも、ボールやバットの違いで打球速度や飛距離は変わります。それぞれの特徴を理解することで、自分の競技に最適化したトレーニングが可能になります。

  • 硬式:ボール反発係数が約0.45。ヘッドスピード150km/hで打球速度205km/h前後が出る。バットは900〜920gが標準。
  • 軟式(M号・J号):反発係数は硬式より高いが、ボール変形ロスがあるため、同じヘッドスピードでも打球速度は硬式比-5〜10km/h。複合バット(ビヨンドマックスなど)の使用で大幅な差が出る。
  • ソフトボール(女子・男子):ボールサイズが大きく重く、低反発。ヘッドスピード自体が硬式より10〜20km/h低くなる傾向あり。バットの長さ・ヘッドサイズも異なる。

道具の選び方:ヘッドスピードを最大化するバット

体格・筋力に合わないバットを使うと、どれだけ筋力をつけてもヘッドスピードは伸びません。一般的な選び方の指針は以下の通りです。

  • 長さ:身長×0.45〜0.48cm(170cm身長なら77〜82cm)
  • 重さ:体重×12〜13g(70kgなら840〜910g)。ただし高校生以上の硬式では公式規格900g以上が必須。
  • バランス:振り抜き重視ならミドル〜トップバランス、操作性重視ならカウンターバランス。
  • 素材:木製(ホワイトアッシュ・メイプル)、複合(カーボン)、金属(アルミ合金)など。軟式ならビヨンドマックスやカタリスト、硬式公式戦は木製。

よくある質問(FAQ)

Q1:8週間で本当にヘッドスピードは上がりますか?

A:本プログラムを忠実に実行した場合、私の指導実績で平均+8〜15km/h、最大+22km/hの向上を確認しています。ただし「忠実に」が条件で、週1〜2日抜けると効果は半減します。土台が脆弱な初心者ほど伸び幅が大きく、すでに上級者の選手は+3〜5km/hが現実的です。

Q2:中学生でも筋トレして大丈夫ですか?

A:自体重トレーニング(スクワット、プランク、腕立て伏せ等)は安全です。バーベルなどの高重量は骨端線が閉じる17〜18歳以降が推奨です。中学生は「自体重×フォーム×可動域」を徹底し、瞬発系(ジャンプ、メディシンボール)を中心にしてください。

Q3:マスコットバットは効果ありますか?

A:使い方次第です。重いバットだけで振り続けると、神経系が「遅い動き」に最適化されてしまい、本番のバットでヘッドが走らなくなる現象(マスコット症候群)が起きます。軽重交互素振り(重→普通→軽の交互)こそが正解で、これだけでヘッドスピードが平均3〜5km/h向上したというDriveline Baseballの研究があります。

Q4:素振り何本やればいいですか?

A:質を伴った全力スイングであれば1日100〜200本で十分です。500本以上は怪我のリスクが上昇し、フォームも崩れます。「全力スイング100本 > 流し素振り500本」を覚えてください。詳しくは素振りのコツ完全ガイドで解説しています。

Q5:プロテインや器具なしでもヘッドスピードは上がりますか?

A:上がります。本ガイドの前半(ステップ1〜5)は道具なしでも実行可能で、可動域・体幹・下半身を整えるだけで初心者なら+10km/h以上は十分達成可能です。器具やプロテインは「上を目指すための加速装置」と捉えてください。

Q6:女性や中学生の女子でも同じプログラムでいいですか?

A:構造は同じですが、上半身の絶対筋力差を考慮して、下半身と体幹の比重を高めてください。女子ソフトボールでヘッドスピード120km/hに到達すれば全国レベル、130km/hなら日本代表クラスです。

Q7:シーズン中でもこのプログラムを実施できますか?

A:シーズン中は試合の疲労があるため、強度を60〜70%に落として継続するのが理想です。完全に止めると2〜3週間で能力が戻ってしまうため、軽重交互素振りと体幹だけでも続けてください。本格的なヘッドスピード向上はオフシーズン(11月〜2月)に集中させるのがNPB選手の標準的なやり方です。

Q8:ヘッドスピードが上がったのに飛距離が伸びないのはなぜ?

A:原因は3つ考えられます。①ミートポイントが芯から外れている → 動画でインパクト位置を確認、②打球角度が低すぎる(15度未満) → アッパー軌道への修正、③スピン量が多すぎる(カット気味) → ヘッドの入れ方を修正。ミート力の鍛え方はミート力完全ガイドを参考にしてください。

Q9:木製バットと金属バットでヘッドスピードに違いはありますか?

A:同じ重量・長さなら、ヘッドスピード自体に大きな違いはありません。ただし金属バットの方が芯が広く重心が手元に近い設計が多いため、実際のスイングでは2〜5km/h速く振りやすい傾向があります。NPBや高校生(甲子園)は木製・金属で大きく性質が異なるため、それぞれに合った振り方の調整が必要です。

Q10:怪我から復帰後、どのくらいでヘッドスピードは戻りますか?

A:1ヶ月のブランクで-10〜15km/h程度低下し、復帰後3〜4週間で元に戻るのが目安です。焦って強度を上げると再発リスクが高いため、最初の2週間は素振り50本程度から再開し、可動域・体幹トレーニングを並行させてください。

まとめ:ヘッドスピード向上は「正しい順序」で取り組む

ヘッドスピードは「才能」ではなく「正しい順序で積み上げた習慣の結果」です。①現状計測 → ②可動域 → ③体幹 → ④下半身 → ⑤上半身瞬発力 → ⑥連動性ドリル → ⑦実打検証、この順序を8週間守ることで、初心者なら+10km/h以上、中級者でも+5〜8km/hの向上は十分達成可能です。村上宗隆や岡本和真も最初から170km/hのヘッドスピードを持っていたわけではありません。彼らも中学・高校時代に同じステップを踏み、地道に積み上げてきた結果が今のスイングです。

最後に強調しておきたいのは、「計測→修正→再計測」のサイクルを止めないことです。Zeppでもスマホ動画でも構いません。客観的な数値を持って自分のスイングと向き合った選手だけが、ヘッドスピードという「打者の燃費効率」を確実に上げられます。本ガイドを片手に、まずは今日、現在地のスイング動画を撮るところから始めてみてください。2026年シーズン終盤、あなたのスイングは確実に進化しているはずです。

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著者

田中 健太

田中健太は元NPBマイナーリーグ選手で、現在は公認バッティングインストラクター。15年以上の野球経験を活かし、バッティング技術、ピッチング指導、野球用品のレビューを専門としています。高校野球から社会人野球まで幅広い選手の指導実績があります。

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