野球の下半身トレーニング完全ガイド:NPB選手に学ぶ投手・野手別メニュー・ドリル・年代別プログラム

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Last updated: 2026年3月10日

野球において「下半身は全ての動作の土台」と言われます。NPBのトップ選手たちは例外なく強靭な下半身を持ち、それが圧倒的なパフォーマンスにつながっています。私は長年にわたって野球のトレーニング指導に携わってきましたが、下半身を鍛えることで投球速度が10km/h以上アップした選手や、打球速度が大幅に向上した選手を何人も見てきました。

この記事では、野球選手のための下半身トレーニングを徹底解説します。投手・野手別のメニュー、小学生から大人までの年代別プログラム、必要な器具、よくある間違い、そしてNPB選手が実践しているドリルまで、すべてを網羅した完全ガイドです。

なぜ野球選手に下半身トレーニングが不可欠なのか

野球のあらゆる動作は下半身から始まります。投球では地面からの反力(GRF:Ground Reaction Force)がボールに伝わるエネルギーの約60〜65%を生み出すとされています。打撃でも同様に、バットスイングの力の源泉は脚と股関節の回旋にあり、NPBの平均的な強打者は下半身で生み出した力を効率よく上半身に伝えることで150km/h超のスイングスピードを実現しています。

NPBでは近年、データ分析の進化によりフィジカルの重要性がさらに注目されています。2025年シーズンでは、150km/h以上を投げる投手が過去最多を記録し、その多くがオフシーズンに下半身強化を重点的に行ったことを公言しています。大谷翔平選手も渡米前から下半身トレーニングを最重要視していたことは有名です。

下半身トレーニングは単に「パワーアップ」だけでなく、以下の効果をもたらします:

  • 投球速度の向上:下半身の筋力が上がると地面反力が増加し、球速に直結
  • 打球速度・飛距離アップ:股関節回旋のパワーがバットスピードを加速
  • 走力の向上:ベースランニングや守備範囲の拡大
  • 怪我の予防:膝・股関節・腰の安定性が上がり、故障リスクを軽減
  • 持久力の強化:試合後半でもパフォーマンスを維持できる

下半身トレーニングに必要な器具・設備

まずは下半身トレーニングに使用する器具を整理しましょう。ジムがなくても始められる自重トレーニングから、本格的なウェイトトレーニングまで段階的に紹介します。

カテゴリ器具用途予算目安
自重なし(体重のみ)スクワット・ランジ・片脚系種目0円
バンド系ミニバンド・チューブ股関節の活性化・ウォームアップ1,000〜3,000円
フリーウェイトバーベル・ダンベルスクワット・デッドリフト・ランジジム利用:月額5,000〜10,000円
マシンレッグプレス・レッグカール個別筋の強化・リハビリジム利用に含む
プライオ系プライオボックス・ハードル爆発的パワー・ジャンプ系ドリル5,000〜15,000円
バランス系バランスボード・BOSUボール固有受容覚・片脚安定性3,000〜8,000円
スライド系スライドボード横方向の動き・守備動作の強化8,000〜20,000円

私の経験では、まずは自重トレーニングとミニバンドから始め、正しいフォームが身についてからフリーウェイトに進むのがベストです。特に中学生以下の選手は自重種目を十分にマスターすることが最優先です。

野球の下半身トレーニング:基本種目ステップバイステップ

ここからは、野球選手に最も効果的な下半身トレーニング種目を、段階的に紹介していきます。各種目は正しいフォームで行うことが最も重要です。

ステップ1:股関節ヒンジをマスターする

野球の動作において最も重要な動きが「股関節ヒンジ」です。これは股関節を中心に上体を前傾させる動きで、投球のロード局面や打撃のパワーポジションの基礎となります。

ルーマニアンデッドリフト(RDL)のやり方:

  1. 足を肩幅に開き、膝を軽く曲げて立つ
  2. ダンベルまたはバーベルを太もも前に持つ
  3. お尻を後ろに引くように股関節から上体を倒す(背中は真っ直ぐ)
  4. ハムストリングスにストレッチを感じたら(太もも裏面が張る位置)、股関節を前に押し出して立ち上がる
  5. 立ち上がった時にお尻をしっかり締める

目安:自重またはダンベル8〜12回×3セット。まずは軽い重量でフォームを完璧にしましょう。

ステップ2:スクワットで下半身全体を鍛える

スクワットは下半身トレーニングの王道です。大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋・体幹を同時に鍛えられるため、野球選手にとって最も効率的な種目のひとつです。

ゴブレットスクワットのやり方(初級者向け):

  1. ダンベルまたはケトルベルを胸の前で両手で持つ
  2. 足を肩幅よりやや広めに開き、つま先を少し外に向ける
  3. お尻を後ろに引きながら、膝がつま先と同じ方向を向くようにしゃがむ
  4. 太ももが地面と平行になるまで下がる(深さは柔軟性に合わせて調整)
  5. かかとで地面を押し、力強く立ち上がる

バックスクワットへの進行:ゴブレットスクワットで自体重の50%のウェイトを正しいフォームで8回できるようになったら、バーベルバックスクワットに進みましょう。NPBのプロ選手では体重の1.5〜2倍のバックスクワットを目標にする選手が多いです。

ステップ3:片脚種目で左右のバランスを整える

野球は片脚で立つ場面が非常に多いスポーツです。投球のステップ脚への体重移動、打撃の前脚でのブレーキング、守備の一歩目のスタートなど、すべて片脚での力発揮が求められます。

ブルガリアンスプリットスクワットのやり方:

  1. ベンチまたは台の前に立ち、片足の甲を後ろの台に乗せる
  2. 前脚に体重の約80%を乗せ、背筋を伸ばす
  3. 前脚の膝がつま先を超えないように、真下にしゃがむ
  4. 前脚の太ももが地面と平行になったら、かかとで押して立ち上がる
  5. 片側8〜10回を終えたら反対側も同様に行う

目安:片側8〜10回×3セット。ダンベルを両手に持つことで負荷を調整できます。

ステップ4:爆発的パワーを養うプライオメトリクス

筋力がある程度ついたら、その力を素早く発揮する「爆発力」のトレーニングに進みます。野球は0.4秒以内のスイング、0.15秒以内の接地でリリースされる投球など、瞬発的な動作の連続です。

ボックスジャンプのやり方:

  1. プライオボックスの前に足を肩幅に開いて立つ(最初は30〜45cm)
  2. 腕を後ろに振りながら、素早くしゃがむ(カウンタームーブメント)
  3. 腕を前に振り上げると同時に、全力でジャンプ
  4. ボックスの上にソフトに着地(膝は軽く曲げる)
  5. 立ち上がってから、後ろに降りる(ジャンプで降りない)

目安:3〜5回×3〜4セット。プライオメトリクスは質が最重要なので、疲労が溜まったら即終了しましょう。

投手のための下半身トレーニングプログラム

投手にとって下半身は「エンジン」そのものです。NPBで150km/h以上を投げる投手たちは、例外なく強靭な下半身を持っています。球速を上げる方法として最も効果的なのが、この下半身強化です。

投手の下半身トレーニングでは、以下の3つのフェーズに分けて考えます:

フェーズ1:筋力ベース構築(オフシーズン前半・8〜12週間)

  • バックスクワット:4セット×6〜8回(週2回)
  • ルーマニアンデッドリフト:3セット×8〜10回
  • ブルガリアンスプリットスクワット:3セット×8〜10回(片側)
  • ノルディックハムストリングカール:3セット×3〜6回
  • カーフレイズ:3セット×12〜15回

フェーズ2:パワー変換期(オフシーズン後半・6〜8週間)

  • トラップバーデッドリフト:4セット×3〜5回(高重量)
  • ボックスジャンプ:4セット×3〜5回
  • 横方向バウンドジャンプ:3セット×5回(片側)
  • メディシンボール・ローテーショナルスロー:3セット×5回
  • 片脚RDL:3セット×6〜8回(片側)

フェーズ3:シーズン中の維持(シーズン中・週1〜2回)

  • ゴブレットスクワット:2セット×8回
  • 片脚RDL:2セット×8回(片側)
  • ラテラルランジ:2セット×6回(片側)
  • ミニバンドウォーク:2セット×10歩

投球動作では、後ろ脚(軸足)での「プッシュオフ」と前脚(ステップ脚)での「ブレーキング」の両方が重要です。特に前脚のブレーキングが弱い投手は、エネルギーが逃げてしまい球速が出ません。片脚スクワットやランジ系の種目で、両脚とも鍛えることが球速アップの鍵です。

野手・バッターのための下半身トレーニングプログラム

バッティングでは、後ろ脚のターン(内旋)と前脚のブレーキング(安定性)が打球速度を決定づけます。バッティングフォームの改善にも、下半身の強化は直結します。NPBの本塁打王クラスの選手は、下半身から生み出されるスイングスピードが他の選手を大きく上回っています。

バッター向け週間トレーニング例(オフシーズン):

Day 1(脚力・パワー):

  • フロントスクワット:4セット×5〜6回
  • ヒップスラスト:3セット×8〜10回
  • ラテラルボックスジャンプ:3セット×4回(片側)
  • ケーブルプルスルー:3セット×12回

Day 2(回旋力・安定性):

  • トラップバーデッドリフト:4セット×4〜6回
  • コサックスクワット:3セット×6回(片側)
  • メディシンボール・ローテーショナルスクープトス:3セット×5回(両方向)
  • シングルレッグヒップスラスト:3セット×8回(片側)

バッターにとって特に重要なのは「ラテラル(横方向)の力」と「回旋力」です。素振りの練習と並行して下半身トレーニングを行うことで、スイングスピードの向上を実感できるはずです。

年代別・レベル別の下半身トレーニングガイド

下半身トレーニングは年齢やレベルに合わせたプログラムが必要です。成長期の選手に高重量のバーベルスクワットをやらせるのは適切ではありません。ここでは年代別の指針をまとめます。

小学生(6〜12歳)

この年代の目標は「正しい動きのパターンを身につけること」です。重い負荷は一切不要で、自体重の種目を遊びの延長として取り入れます。

  • 自重スクワット:10〜15回×2セット
  • ウォーキングランジ:10歩×2セット
  • カエルジャンプ:5〜8回×2セット
  • 片脚バランス立ち:各30秒×2セット
  • 鬼ごっこ・ダッシュ遊び:10〜15分

週2〜3回で十分です。楽しみながら体を動かすことが最優先で、無理に「トレーニング」として厳しく行う必要はありません。

中学生(13〜15歳)

成長期に入り、筋力の伸びが期待できる時期です。自重種目に加え、軽いダンベルやチューブを使ったトレーニングを導入できます。

  • ゴブレットスクワット:3セット×10回
  • ダンベルRDL:3セット×8回
  • ブルガリアンスプリットスクワット(自重〜軽いダンベル):3セット×8回(片側)
  • ミニバンドウォーク:2セット×10歩(前後左右)
  • ボックスジャンプ(低い台):3セット×5回

この時期はフォームの習得に時間をかけることが最も重要です。重さを追求するのではなく、動きの質を高めましょう。体幹トレーニングも並行して行うとさらに効果的です。

高校生以上(16歳〜)

成長期の後半から成人にかけて、本格的なウェイトトレーニングを導入できます。この段階では、前述の投手向け・野手向けプログラムを活用してください。高校生の目標値として、バックスクワットで体重の1.2〜1.5倍を挙げられることがひとつの基準になります。

野球の下半身トレーニングでよくある間違い

長年指導をしてきた中で、選手たちが繰り返しやってしまう間違いがあります。以下の表にまとめましたので、自分のトレーニングをチェックしてみてください。

よくある間違いなぜ問題なのか正しいやり方
両脚種目ばかりで片脚種目をしない野球は片脚動作が多いため、左右差が大きくなり怪我のリスクが上がるトレーニングの50%は片脚種目を入れる
膝が内側に入る(ニーバルガス)ACL(前十字靭帯)損傷のリスクが高まり、力も効率よく伝わらない膝はつま先と同じ方向に向けて動かす。ミニバンドで矯正
かかとが浮くスクワット大腿四頭筋だけに負荷が集中し、臀筋・ハムストリングスが使えない足裏全体で地面を押す。足首が硬い場合はヒールを少し上げる
レッグエクステンションばかりやる単関節種目で機能的な力が身につかず、膝への負担も大きいスクワット・ランジ等の多関節種目を優先
重さだけを追求してフォームが崩れる効果が半減するだけでなく、腰や膝を痛めるリスクが激増フォームが崩れない範囲で重量を設定する
プライオメトリクスを疲労状態でやる爆発力トレーニングは疲労時に行うと効果が出ず、怪我の原因になる練習の最初、ウォームアップ後に行う
ストレッチを全くしない股関節の可動域が狭くなり、投球・打撃フォームが制限されるトレーニング後に股関節・ハムストリングスのストレッチを5〜10分
シーズン中にトレーニングをやめるオフシーズンに築いた筋力がシーズン中に失われる週1〜2回の維持トレーニングを継続
上半身ばかり鍛える投球も打撃も力の源は下半身。上半身偏重では本来の力が出ない下半身と上半身のトレーニング比率は最低でも1:1
投球日にハードな脚トレーニングをする疲労した状態で投げるとフォームが崩れ、肩・肘への負担が増す投球日の前日と当日はハードな脚トレを避ける

NPB選手に学ぶ実践ドリル5選

ここでは、NPBの選手やコーチが実際に取り入れている実践的なドリルを紹介します。ジムでの筋トレだけでなく、グラウンドで行えるドリルを組み合わせることが、野球に直結する下半身の力を養う秘訣です。

ドリル1:ラテラルバウンドドリル

守備の一歩目や、投球の体重移動に必要な「横方向の爆発力」を鍛えるドリルです。

  1. 片脚で立ち、膝を軽く曲げる
  2. 横方向に全力でジャンプし、反対の片脚で着地
  3. 着地したらバランスを取り1〜2秒静止
  4. そこから反対方向にジャンプ
  5. 片側5回×3セット

ドリル2:マウンドプッシュオフドリル(投手向け)

投手の軸足プッシュオフを強化するための専門ドリルです。

  1. マウンドまたは傾斜のある場所で投球姿勢のセットポジションを取る
  2. 軸足(右投手なら右足)に全体重を乗せる
  3. ボールを投げずに、軸足で力強く蹴り出してステップ脚に体重移動
  4. ステップ脚で安定して着地し、バランスフィニッシュの姿勢を3秒キープ
  5. 10回×3セット

このドリルで軸足の蹴り出しの感覚を磨くことが、変化球の投げ方の安定にもつながります。下半身が安定すればリリースポイントが安定し、制球力が向上します。

ドリル3:前脚ブレーキングドリル(投手・バッター共通)

前脚のブレーキングは投球でもバッティングでも極めて重要です。前脚がしっかりブレーキをかけることで、運動エネルギーが効率よく上半身・腕・バットに伝わります。

  1. 約1.5mの距離にコーンを2つ置く
  2. 後ろのコーンから前のコーンに向かって片脚でホップ
  3. 前のコーンで前脚で着地し、膝をロックして「壁」を作る
  4. 着地で3秒間バランスをキープ(上体がぶれないことが目標)
  5. 片側8回×3セット

ドリル4:ヒップターンドリル(バッター向け)

バッティングにおける股関節の回旋スピードを高めるドリルです。

  1. バッティングスタンスを取る(バットは持たない)
  2. 両手を胸の前でクロスする
  3. 後ろ脚の股関節を全力で内旋させ、へそを投手方向に向ける
  4. 前脚はしっかり地面に固定し、膝が内側に入らないようにする
  5. 10回×3セット。慣れたらミニバンドを膝上に巻いて負荷を追加

ドリル5:ベースランニング加速ドリル

走力強化のための短距離ダッシュドリルです。送球のコツと同様に、爆発的な一歩目が守備範囲を広げます。

  1. 塁間(27.431m)に3つのコーンを等間隔で置く
  2. スタートはバッターボックスから打った後の姿勢で構える
  3. 最初のコーンまで全力加速
  4. 2つ目のコーンで最高速度を維持
  5. 3つ目のコーンでベースを踏む動作を入れて減速
  6. 5本×3セット(セット間は2分休憩)

下半身トレーニングの上級テクニック

基本種目をマスターし、ある程度の筋力が身についた選手向けに、さらにパフォーマンスを引き上げる上級テクニックを紹介します。

コントラストトレーニング(PAP法)

高重量の筋力種目の直後にプライオメトリクスを行うことで、筋肉の活性化(Post-Activation Potentiation)を利用し、爆発力を最大化する方法です。

  • 例1:バックスクワット3回(85%1RM)→ 休憩30秒 → ボックスジャンプ3回
  • 例2:トラップバーデッドリフト3回(85%1RM)→ 休憩30秒 → ブロードジャンプ3回
  • 例3:ヒップスラスト5回(80%1RM)→ 休憩30秒 → メディシンボールスクープトス5回

3〜4セット行い、セット間は2〜3分の休憩を取ります。体重の1.5倍以上のスクワットができる選手に推奨します。

速度ベーストレーニング(VBT)

近年、NPBの球団でも導入が進んでいるのがVBT(Velocity Based Training)です。バーベルの速度をセンサーで計測し、目標速度に合わせて重量を調整します。

  • 最大筋力(0.3〜0.5m/s):重い重量でゆっくり動かす
  • パワー(0.5〜0.75m/s):中程度の重量を素早く動かす
  • 爆発的パワー(0.75〜1.0m/s):軽い重量を最大速度で動かす

野球選手は「爆発的パワー」ゾーンでのトレーニングを最も重視すべきです。スクワットでは体重の50〜70%の重量で、できるだけ速く立ち上がる練習が野球のパフォーマンスに直結します。

非対称トレーニング

野球は左右非対称なスポーツです。投手は軸足側が強くなりがちで、打者は前脚側が強くなる傾向があります。この左右差を管理するために、片脚種目で弱い側を先に行い、弱い側の回数に合わせて強い側も同じ回数にする方法が効果的です。左右差が20%以上ある場合は、弱い側のセット数を1セット追加することも検討しましょう。

下半身トレーニングのウォームアップとクールダウン

トレーニングの効果を最大化し、怪我を予防するためにはウォームアップとクールダウンが欠かせません。

ウォームアップ(10〜15分):

  1. 軽いジョグまたはバイク:5分
  2. フォームローラーで大腿・ハムストリングス・臀部を各30秒
  3. ミニバンドウォーク(前後左右):各10歩
  4. ワールドグレイテストストレッチ:片側3回
  5. 自重スクワット:10回
  6. 片脚バランス:各15秒

クールダウン(5〜10分):

  1. ハムストリングスストレッチ:各30秒
  2. 股関節屈筋(腸腰筋)ストレッチ:各30秒
  3. 大腿四頭筋ストレッチ:各30秒
  4. 臀部ストレッチ(鳩のポーズ):各30秒
  5. 内転筋ストレッチ:各30秒

下半身トレーニングの栄養と回復

トレーニングの効果を最大限に引き出すためには、適切な栄養と回復が不可欠です。

トレーニング前(1〜2時間前):炭水化物を中心に軽い食事を摂取。おにぎり2個程度が目安です。

トレーニング後(30分以内):タンパク質20〜30gと炭水化物を摂取。プロテインシェイクとバナナの組み合わせが手軽です。NPBの栄養士によると、体重1kgあたり1.6〜2.2gのタンパク質が筋肥大には理想的とされています。

睡眠:7〜9時間の睡眠は筋肉の回復に最も重要な要素です。成長ホルモンの80%は睡眠中に分泌されるため、特に成長期の中高生は8時間以上の睡眠を確保しましょう。

休息日:ハードな下半身トレーニングの後は最低48時間の回復時間を設けましょう。連日の脚トレーニングは逆効果になります。

シーズンを通じたトレーニング計画(ピリオダイゼーション)

1年を通してトレーニングの内容と強度を変化させることで、シーズン中にピークパフォーマンスを発揮できるようにします。NPBのスケジュールに合わせた年間計画の例を紹介します。

11月〜12月(準備期・筋肥大重視):

  • 目的:筋量の増加、弱点部位の強化
  • 頻度:週3〜4回
  • セット×回数:3〜4セット×8〜12回
  • 重量:中程度(65〜75%1RM)

1月〜2月(強化期・最大筋力重視):

  • 目的:最大筋力の向上
  • 頻度:週2〜3回
  • セット×回数:4〜5セット×3〜6回
  • 重量:高重量(80〜90%1RM)

2月後半〜3月(パワー変換期):

  • 目的:筋力を爆発力に変換
  • 頻度:週2回
  • 内容:コントラストトレーニング、プライオメトリクス中心
  • 重量:中重量を高速で(50〜70%1RM)

4月〜10月(シーズン中・維持期):

  • 目的:筋力・パワーの維持
  • 頻度:週1〜2回
  • セット×回数:2〜3セット×4〜6回
  • 重量:中〜高重量(70〜85%1RM)

よくある質問(FAQ)

Q:下半身トレーニングをすると脚が太くなって動きが遅くなりませんか?

A:これは非常によくある誤解です。野球選手向けのトレーニングではボディビルのような高回数・高ボリュームは行いません。低〜中回数で爆発的に動かすトレーニングは、筋肥大よりも筋力とパワーを優先的に高めます。NPBのトップ選手を見ても、脚が極端に太い選手は少なく、むしろ機能的で引き締まった下半身を持っています。

Q:スクワットで膝が痛くなるのですが、続けても大丈夫ですか?

A:膝の痛みがある場合は、まずフォームを確認してください。膝が内側に入っていないか、膝がつま先より大幅に前に出ていないかをチェックします。それでも痛い場合は重量を下げるか、ボックススクワット(椅子や台に座ってから立ち上がる)に切り替えましょう。痛みが続く場合はスポーツ整形外科の受診をお勧めします。

Q:小学生でもウェイトトレーニングは必要ですか?

A:バーベルやダンベルを使った本格的なウェイトトレーニングは小学生には推奨しません。自重でのスクワット、ランジ、ジャンプ系の運動で十分です。正しい動きのパターンを身につけることが最優先で、負荷は中学生以降に徐々に増やしていきましょう。

Q:投手は試合の何日前まで下半身トレーニングをしていいですか?

A:ハードな下半身トレーニング(高重量スクワットやデッドリフト)は登板の2〜3日前までに終えましょう。登板前日は軽い動的ストレッチやミニバンドウォーク程度にとどめます。シーズン中は登板翌日にトレーニングを入れ、登板2日前からは回復に充てるスケジュールが一般的です。

Q:家でできる下半身トレーニングメニューを教えてください

A:以下のメニューは器具なしで自宅でできます。週2〜3回行いましょう。

  • 自重スクワット:15回×3セット
  • ブルガリアンスプリットスクワット(椅子使用):10回×3セット(片側)
  • シングルレッグRDL(自重):8回×3セット(片側)
  • ヒップブリッジ:15回×3セット
  • ウォールシット:30秒×3セット
  • カーフレイズ(段差使用):15回×3セット

Q:下半身トレーニングの効果はどのくらいで実感できますか?

A:個人差はありますが、正しいトレーニングを継続すれば4〜6週間で筋力の向上を感じ始め、8〜12週間で球速や打球速度といった野球のパフォーマンスへの効果が現れることが多いです。ただし、トレーニング開始直後の2〜4週間は神経系の適応が起こり、筋量はあまり変わらなくても挙上重量が上がる時期があります。焦らず継続することが最も重要です。

まとめ:下半身トレーニングで野球のパフォーマンスを最大化しよう

野球の下半身トレーニングは、投球速度・打球速度・走力・守備範囲・怪我予防のすべてに直結する最重要トレーニングです。この記事で紹介したポイントをまとめると:

  • 基本の4種目(股関節ヒンジ・スクワット・片脚種目・プライオメトリクス)を段階的にマスターする
  • 投手は軸足と前脚の両方を強化し、エネルギー伝達を最大化する
  • バッターは回旋力と横方向の力を重点的に鍛える
  • 年齢に合わせたプログラムを選び、小学生は自重、中学生は軽負荷、高校生以上で本格的なウェイトに進む
  • よくある間違いを避け、片脚種目を取り入れ、フォームを最優先する
  • 年間を通じたピリオダイゼーションでシーズン中もトレーニングを維持する
  • 栄養と回復を怠らず、タンパク質と睡眠を十分に確保する

下半身はすべてのプレーの土台です。地道なトレーニングを積み重ねることで、あなたの野球パフォーマンスは確実に次のレベルに到達します。まずは今日から自重スクワットを始めてみてください。それが、野球人生を変える第一歩になるはずです。

著者

田中 健太

田中健太は元NPBマイナーリーグ選手で、現在は公認バッティングインストラクター。15年以上の野球経験を活かし、バッティング技術、ピッチング指導、野球用品のレビューを専門としています。高校野球から社会人野球まで幅広い選手の指導実績があります。

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