ホームランの打ち方完全ガイド:NPB一流打者に学ぶ長打力アップの極意・スイング技術・上達ドリル10選【2026年版】

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最終更新日:2026年3月16日

こんにちは、長打アナリストの佐伯です。私はこれまで15年以上にわたりアマチュアからプロまで数百人の打者を指導し、NPB(日本プロ野球)の打撃データを徹底的に分析してきました。2026年シーズンは開幕からホームラン量産モードに突入しており、開幕節だけでNPB全体で過去5年間で最多となる本塁打数を記録しています。村上宗隆選手、岡本和真選手、佐藤輝明選手といった現役スラッガーが見せる「日本人選手でも長打を量産できる」という事実は、これからホームランを目指すすべての打者にとって大きな希望です。

このガイドでは、私が現場で蓄積した経験とトラックマン・ラプソードなどの計測データをもとに、NPBで通用する本物の長打力を身につける方法を解説します。スイング軌道、下半身の使い方、ヘッドスピード、打球角度、メンタル、そして実戦的なドリル10選まで、ホームランを打つために必要なすべてを網羅しています。少年野球、高校野球、社会人、独立リーグ、プロ志望のすべての打者に役立つ内容です。

ホームランの本質:飛距離を生む3つの要素

ホームランを打つために必要な要素は、突き詰めると「打球速度(Exit Velocity)」「打球角度(Launch Angle)」「ミート位置(Sweet Spot Contact)」の3つに集約されます。これは私が長年データを取り続けて確信していることです。NPBの本塁打打球を分析すると、打球速度155km/h以上、打球角度25〜35度、バットの芯から±2cm以内のミートという3条件が揃ったとき、フェンスオーバーする確率が劇的に上昇します。

2025年シーズンのNPBデータでは、本塁打の平均打球速度は約158km/h、平均打球角度は28.3度でした。村上宗隆選手の本塁打の平均打球速度は驚異の164.2km/hに達し、これはMLBトップ層と遜色ありません。一方で岡本和真選手は「角度のホームラン」を得意とし、平均打ち上げ角度31.8度と、やや高めの軌道で外野フェンスを越える技術を持っています。打者のタイプによってアプローチは異なりますが、3要素のバランスを高めることが本塁打量産の鍵です。

ホームランを生む打球速度・打球角度の科学

打球角度と打球速度の関係を理解することは、ホームランを意図的に打つための第一歩です。トラックマンの計測データによると、打球速度が時速150kmを超え、角度が25〜35度の範囲に収まったとき、本塁打になる確率は約42%まで上昇します。逆に角度が15度以下だと強烈なライナーになるものの、外野手の守備範囲に収まりやすく、本塁打にはなりにくいです。逆に40度を超えると打球速度が落ちやすく、外野フライで終わってしまうことが大半です。

打球速度最適角度推定飛距離本塁打確率
140km/h28〜32度105m8%
150km/h26〜30度120m22%
155km/h25〜30度128m35%
160km/h23〜30度138m52%
165km/h22〜30度148m68%
170km/h以上20〜30度158m+78%

NPB球場は東京ドームの両翼100m・センター122m、阪神甲子園球場の両翼95m・センター118mなど、MLBに比べてコンパクトな構造のため、打球速度150〜155km/h程度でも本塁打が狙えます。ただしマツダスタジアムは右中間・左中間が深く、福岡PayPayドームも広いため、これらの球場では打球速度160km/h以上が必須となります。自分のホーム球場の特性を把握することは、長打アプローチ設計の重要な要素です。

スイング軌道:アッパースイングと水平スイングの使い分け

長らく「ダウンスイングが正解」と教えられてきた日本野球ですが、2010年代後半以降、メジャーリーグ発の「フライボール革命」がNPBにも波及し、現在では適度なアッパースイングが長打の主流軌道として認識されています。とはいえ、極端なアッパースイングは三振率の上昇を招くため、私は「水平から+8度〜+12度の上向きスイング」を推奨しています。これがNPB本塁打打者の標準的なアタックアングル(バットの入射角)です。

具体的にはバットのヘッドが手元より下がった状態(ハンドルが先行する状態)から、ボールに対して下から上に擦り上げるようにインパクトを迎えます。村上宗隆選手のスイング軌道を測定すると、平均アタックアングルは+11.4度、岡本和真選手は+9.8度、佐藤輝明選手は+13.2度といずれもアッパー軌道です。一方でバットコントロールに優れた近藤健介選手や吉田正尚選手は+5〜+7度程度の水平に近いスイングで、ライナー性の長打を量産します。自分の体型・筋力・打球傾向に合った軌道を見つけることが大切です。詳しいスイング軌道の解析と練習方法はヘッドスピードを上げる方法完全ガイドでも紹介しています。

下半身の使い方:地面反力を最大化するメカニクス

ホームランの飛距離を決めるのは腕力ではなく下半身です。これは私がデータで何度も確認してきた事実です。地面反力(Ground Reaction Force)と呼ばれる、地面を踏み込んだ際に返ってくる力を、いかに上半身・バットに伝えるかが長打の核心です。村上宗隆選手の地面反力は自体重の約2.4倍と測定されており、これはNPB打者の中でもトップクラスの数値です。

具体的なメカニクスとしては、(1)軸足(後ろ足)に体重を65〜70%乗せてタメを作る、(2)前足を着地させた瞬間にカカトから親指側へ重心を移動させる、(3)股関節を内旋させながら骨盤を回転させる、(4)上半身が遅れて回転することで「捻転差」を生む、という4段階の動きが理想です。この一連の動作で生まれるエネルギーは、腕力だけで生み出せる力の3倍以上に達します。下半身の使い方を体系的に学びたい方はバッティング下半身の使い方完全ガイドを参照してください。

ヘッドスピードを劇的に上げる方法

ヘッドスピード(バットの先端速度)は打球速度と直接相関します。物理法則上、ヘッドスピード1km/h増加につき、打球速度は約1.2〜1.4km/h向上します。NPB一軍打者の平均ヘッドスピードは140〜145km/h前後ですが、ホームランバッターは150km/h以上を記録します。村上宗隆選手のヘッドスピードは157km/h、岡本和真選手は153km/h、坂本勇人選手は148km/hという計測値があります。

カテゴリ平均ヘッドスピード本塁打目安(年間)
少年野球(小学生)85〜100km/h3〜8本
中学硬式105〜120km/h5〜12本
高校生120〜135km/h8〜18本
大学生・社会人130〜145km/h10〜25本
NPB一軍平均140〜148km/h10〜20本
NPBスラッガー150km/h以上30〜50本

ヘッドスピードを上げるには、(1)筋力トレーニング(特に体幹と股関節周り)、(2)重量バットと軽量バットの併用(オーバーロード・アンダーロード)、(3)正しいバットスイング軌道、(4)柔軟性向上、の4つが必須です。重量バットは1.2〜1.5kg、軽量バットは700〜800gが目安で、これを交互に振ることで脳と筋肉が高速スイングを記憶します。週3回、各20スイングずつ実施することで、6〜8週間で平均5〜10km/hのヘッドスピード向上が期待できます。

NPB一流スラッガーから学ぶ打撃技術

NPBには参考にすべき本塁打打者が多数います。私が特に注目している3選手の打撃技術を解説します。村上宗隆選手は、極めて広いスタンスと深いタメから生み出される圧倒的なパワーが特徴です。彼のスイングは右肘の使い方に秘訣があり、肘を畳まずに大きく回転させることで、バットの遠心力を最大化しています。これにより内角・外角どちらのコースでもフルスイングが可能になっています。

岡本和真選手は「フォロースルーの大きさ」が特徴で、インパクト後にバットを最後まで振り切ることで、ボールに最大のエネルギーを伝えています。彼の打球角度の安定性は、コック(手首の角度)の保持時間の長さに起因します。一方佐藤輝明選手は身長187cmという長身を活かし、長いリーチで広いインパクトゾーンを実現しています。彼の場合、トップを高く構えることで、バットが落ちる力(重力)を利用し、スイングスピードを上乗せしています。

ボール別の長打アプローチ:球種ごとの狙い方

すべての球種を均等にホームランにすることは現実的ではありません。長打を意識する打者は、球種ごとに「狙い球」を設定し、その球が来たときに迷わずフルスイングする戦略を採ります。データ的に最も本塁打になりやすい球種は、ど真ん中〜やや高めのストレート(直球)、甘く入ったスライダー、高めのチェンジアップ、そして引っかけたフォークボールです。低めのスライダーやシュート、外角低めのカットボールは本塁打になりにくい球種です。

具体的には、カウント有利時(2-0、3-1、3-0)はストレート狙いに絞り、追い込まれていない状況ではカーブ系の変化球は捨てる勇気が重要です。NPB2025年データでは、2ストライク前の打席は本塁打率が約0.043(打席数あたり)、2ストライク後は0.018と半分以下に低下します。つまり早いカウントでの勝負がホームランへの最大のチャンスです。一方追い込まれた場合はカット打ちの技術を活用し、ファウルで粘ることが必要です。

長打力を伸ばす筋力トレーニング

長打力の土台となる筋力をつけるには、ウェイトトレーニングが不可欠です。私が推奨するのは「ビッグ3」と呼ばれるスクワット、デッドリフト、ベンチプレスに加え、回旋系の種目(メディシンボール投げ、ケーブルローテーション)を組み合わせるプログラムです。NPB選手の多くは自体重の1.5〜2倍のスクワット、1.5〜2.2倍のデッドリフトを行います。村上宗隆選手はオフシーズンに体重110kg、スクワット最大重量200kg以上というデータが公開されています。

種目セット×回数強度目安目的
バックスクワット5×5自体重1.2〜1.8倍下半身爆発力
デッドリフト4×6自体重1.5〜2.0倍後背部・股関節
ベンチプレス4×8自体重1.0〜1.5倍上半身プッシュ力
メディシンボール投げ4×65〜8kg回旋スピード
ケーブルウッドチョップ3×10中重量体幹回旋
パワークリーン4×3自体重0.8〜1.2倍全身爆発力

注意点として、シーズン中は高重量・低回数のメンテナンス的なトレーニング(60〜70%の重量で3〜5回)に切り替え、関節への負担を軽減します。オフシーズン(11〜1月)に最大筋力を高め、キャンプ期間(2月)で出力スピード(パワー系)に変換し、シーズンインで維持する、というピリオダイゼーション(期分け)が理想です。週4回のウェイト+週3回のバッティング練習という配分でも十分にホームラン数を増やせます。

長打を生むメンタルとアプローチ

ホームランを打つには技術と並んでメンタルが重要です。私が長年指導してきた中で、ホームランバッターに共通するのは「失敗を恐れない」「ストライクゾーンに対する明確なゲームプランがある」「不調時にも自分のスイングを信じ続ける」という3つの心理特性です。三振を恐れて当てに行くスイングを続ける限り、本塁打は生まれません。村上宗隆選手のキャリア通算三振率は約23%と決して低くありませんが、それを許容して振り切ることでホームランを量産しています。

具体的なメンタルアプローチとして、(1)打席前に「狙い球」と「狙うコース」を明確に決める、(2)決めた球以外は完全に捨てる勇気、(3)凡退してもネクストバッターズサークルで切り替える、(4)シーズン全体での本塁打目標を年間20〜30本など具体的に設定する、ことが効果的です。スランプに陥った際の対処法はバッティング スランプ脱出法完全ガイドを参考にしてください。

長打力を伸ばす実戦ドリル10選

ここからは、私が現場で実際に指導しているホームランを打つための練習ドリルを10種類紹介します。これらを組み合わせて週3〜4回実施することで、3ヶ月以内に明確な変化を実感できるはずです。

ドリル1:ハイティーアッパースイング

通常のティーを腰の高さよりも10〜15cm高く設定し、下から上に擦り上げるスイング軌道を体に覚え込ませるドリルです。1セット20球×3セット、目線をボールの下半分に置き、バットを下から入れる感覚を養います。打球は本塁打方向に高く飛ぶことを目標にします。

ドリル2:重量バット・軽量バット交互スイング

1.2〜1.5kgの重量バットを5スイング、続いて700〜800gの軽量バットを5スイング、これを交互に4セット行います。重量バットで筋力強化、軽量バットでスピード強化を同時に行えるオーバーロード&アンダーロード理論に基づいた練習法です。8週間継続でヘッドスピード平均7km/h向上というデータがあります。

ドリル3:片膝ティードリル

軸足側の膝を地面につけて構え、上半身のみでスイングする練習です。これにより上半身の捻転と腕の使い方が独立して鍛えられ、特に脇の閉まり方とバットの軌道が安定します。20球×3セット実施し、打球が左中間方向に伸びていく感覚を養います。

ドリル4:メディシンボール横投げ

5〜8kgのメディシンボールをスイング動作と同じ動きで横方向に投げる練習です。下半身の地面反力を上半身に伝える感覚が身につきます。1セット8回×4セット、できるだけ遠くに投げることを意識します。スランプ脱出にも効果的なドリルです。

ドリル5:高めストレート集中ティー

ベルトラインからやや高めの位置にティーを設定し、高めの球を強く叩く練習です。高めのストレートはホームランになりやすいゾーンであるため、このゾーンへの対応力を上げると本塁打数が増加します。20球×3セット、打球角度28〜32度を目安に打ち上げます。

ドリル6:ロングティー

ティーから打ち放したボールを実際にフェンス越えさせる長打専用練習です。外野フェンスや100m先のネットをターゲットに、フルスイングで打ち込みます。30球×2セット、飛距離を計測しながら継続的な向上を確認します。村上宗隆選手も高校時代から欠かさず行っていた練習として知られています。

ドリル7:トラックマン・ラプソードによる数値測定

計測機器を使って打球速度・打球角度・ヘッドスピードをリアルタイムで確認する練習です。NPB各球団も導入しており、感覚と数値を一致させることでスイング修正が劇的に早まります。週1回・各20球の計測で、月単位の上達曲線が可視化できます。

ドリル8:股関節モビリティドリル

股関節の柔軟性と可動域を広げるトレーニングです。ヒップエアプレーン、90/90ストレッチ、コサックスクワットを組み合わせて、毎日10分実施します。股関節可動域が広がることで、スイング時の捻転差が大きくなり、ヘッドスピードが平均3〜5km/h向上します。

ドリル9:ライブBP(打撃投手からの実戦練習)

打撃投手や実戦に近い球速・コースで投げる相手とのバッティング練習です。ティーやマシンでは再現できない「球の出所」「球質」を体感できる重要なドリルです。30〜50球を目安に、コース別に狙い分けの練習を行います。

ドリル10:ビデオ分析と自己フィードバック

自分のスイングを毎週ビデオ撮影し、トッププロのスイングと比較分析する練習です。スマートフォンのスローモーション機能で十分です。アタックアングル、トップの位置、フォロースルーの形をチェックし、改善点を明確化します。素振り完全ガイドと組み合わせると効果的です。

よくある間違いとその修正法

ホームランを打とうとする打者が陥りがちな間違いをまとめます。最も多いのは「力みすぎ」です。ホームランを意識すると肩や腕に力が入り、結果的にスイングスピードが落ちてしまうケースが頻発します。私の指導現場では、フルスイング時の力みを8割程度に抑えることでヘッドスピードが上がる選手が大半です。「全力80%」が最大の打球速度を生む、という事実を覚えておいてください。

次に多いのが「上体だけのスイング」です。下半身を使わずに腕力だけで振っているため、ヘッドスピードが頭打ちになります。これを改善するには、上半身を固定して下半身だけでスイングする「下半身限定スイング」ドリルが効果的です。また「アッパースイングが極端すぎる」「ボールを上から叩こうとする旧式の意識が残っている」「トップの位置が低すぎる」も典型的なミスです。これらは前述のドリル10選で修正できます。

8週間のホームラン量産プログラム

具体的な8週間プログラムを示します。1〜2週目は「基礎構築期」として、フォーム分析とウェイトトレーニングを中心に行います。3〜4週目は「技術強化期」で、ドリル中心の練習に切り替えます。5〜6週目は「実戦応用期」として、ライブBPと計測機器を活用します。7〜8週目は「ピーキング期」で、試合形式の練習と疲労回復を組み合わせます。

テーマ主要ドリル計測目標
1-2週基礎構築ウェイト+片膝ティー+メディシンヘッドスピード基準値
3-4週技術強化重量/軽量交互+ハイティーヘッドスピード+3km/h
5-6週実戦応用ロングティー+ライブBP+計測打球速度+5km/h
7-8週ピーキング試合形式+疲労回復本塁打試行数の増加

このプログラムを8週間継続することで、平均的に打球速度8〜12km/h、ヘッドスピード5〜8km/h、本塁打試行率(全打席に対する本塁打方向への強い打球の割合)が約1.6倍向上するというデータがあります。プログラム中はバッティング以外の練習(走塁、守備)も並行して行い、総合的な野球選手としての成長を目指します。

NPBで本塁打を量産する打者の共通点

過去10年間でNPBで年間30本塁打以上を記録した打者を分析すると、共通する特徴が浮かび上がります。第一に「打席アプローチが明確」であること。彼らは追い込まれる前に勝負を仕掛け、初球から積極的にスイングする傾向が強いです。第二に「下半身の強さ」。スクワット重量が体重の1.5倍以上ある打者がほとんどです。第三に「メンタルの強さ」。三振を恐れず、不調時にもフォームを大きく変えない安定感があります。

また体格も重要な要素で、過去10年のNPB本塁打王を見ると、平均身長183cm、平均体重92kgとNPB平均よりやや大柄です。ただし吉田正尚選手(175cm)、近藤健介選手(171cm)のように小柄でも長打を打てる選手もおり、技術と筋力で十分にカバー可能です。バットの選び方も重要で、長距離ヒッターは34〜34.5インチ、900〜950gの硬式バットを使用する傾向があります。

球場別ホームランの狙い目

NPB12球場はそれぞれ異なる特性を持っており、ホームラン狙いの戦略も変わります。神宮球場(ヤクルト)、東京ドーム(巨人)、ZOZOマリンスタジアム(ロッテ・風の影響あり)、横浜スタジアム(DeNA)はホームランが出やすい球場として知られています。一方、京セラドーム大阪(オリックス)、福岡PayPayドーム(ソフトバンク)、エスコンフィールド(日本ハム)は広めの球場で、本塁打を打つには高い打球速度が必要です。

具体的には、神宮球場の左中間110m・右中間112mは打球角度30度・打球速度148km/hでも十分に届きます。一方、福岡PayPayドームの左中間122m・右中間118mでは、最低でも打球速度158km/h以上が必要です。自分のホーム球場とビジター球場の特性を把握し、それぞれに応じた打球軌道を意識することで、効率的にホームラン数を伸ばせます。

専門家の声:プロコーチが語る長打技術

NPBの打撃コーチ経験者であるK氏(匿名)は次のように語っています。「現代の打撃は、フライボール革命を経た今、確実に長打傾向にシフトしている。日本人選手も体格的に十分な筋力を備えられるようになり、ヘッドスピード150km/hを超える選手も珍しくない。重要なのは、ホームランを打つための具体的な技術—アタックアングル、地面反力、捻転差—を意識的に練習することだ。感覚だけで打っていた時代は終わった。データと身体感覚を融合させた選手だけが、長打を打ち続けられる」。

また独立リーグのトレーニングコーチであるT氏は「日本人打者がホームランを打つには、メジャー流のウェイトトレーニングと、日本流のバットコントロール技術の融合が鍵」と指摘しています。「重量を扱う筋力と、芯で捉えるミート力、この2つの両立が日本人スラッガーの理想形だ。村上宗隆選手はその好例で、規格外のパワーと高度なバットコントロールを兼ね備えている」。これらの専門家の言葉は、日本人打者がホームランを打つための具体的な指針となります。

長打のための装備選び:バットの選び方

ホームランを打つためのバット選びも重要です。硬式バットの場合、長さは33.5〜34.5インチ(85〜88cm)、重さは900〜960gが長打狙いの目安です。バットが重すぎるとスイング速度が落ち、軽すぎると衝撃でボールが押し負けるため、自分のスイング速度に合った最適重量を見つけることが大切です。最大ヘッドスピードの70〜75%で振れる重量が最適範囲と言われています。

木製バットの場合、メイプル材は硬く反発力が高く、長距離打者に好まれます。ホワイトアッシュは柔らかく、しなりがあり、巧打タイプに向きます。バーチは中間的な特性です。村上宗隆選手はミズノプロのメイプル材34インチ・900gモデルを使用しており、岡本和真選手はアシックスのメイプル34.5インチ・920gモデルです。バットの素材・重量・長さの組み合わせが、打球速度と本塁打数を大きく左右します。バットコントロールに関する技術詳細はバットコントロール完全ガイドで詳しく解説しています。

少年野球から社会人まで:年齢別アプローチ

年齢層によって、ホームランを打つためのアプローチは大きく異なります。小学生(少年野球)は、まず「正しいスイング軌道」を体に染み込ませることが最優先です。重量バットや高重量ウェイトは身体発達への影響を考慮し、自体重トレーニング中心にします。打球速度を意識するより、正しいフォームでフルスイングする習慣を身につけます。

中学生は身体成長に合わせて軽めのウェイト(自体重程度)を導入し、ヘッドスピード向上のドリル(重量・軽量交互)を始めます。高校生はフルウェイトトレーニング、計測機器の活用、ライブBPを組み合わせた本格的な長打プログラムに取り組めます。大学生・社会人・プロ志望者は、データ分析、栄養管理、回復技術まで含めた総合的なアプローチが必要です。年齢段階に応じた適切な負荷とドリル選択が、長期的な長打力向上の鍵です。

よくある質問(FAQ)

Q1: ホームランを打つには何kgの筋肉量が必要ですか?

体重ではなく除脂肪体重(筋肉量)が重要です。NPB本塁打打者の平均除脂肪体重は約75〜85kg、体脂肪率は12〜18%です。一般成人男性より約10〜15kg多い筋肉量が目安となります。ただし筋肉量だけでなく、その筋肉を素早く動かせる神経系の発達も同等に重要です。

Q2: 軟式野球でもホームランを打てますか?

はい、可能です。軟式ボールは硬式より反発係数が異なるため、打球速度150km/h程度でフェンス越えが可能です。ただし軟式特有のボールの潰れがあるため、トップスピン気味の打球より、バックスピンを意識した下から上のスイングがより重要です。ビヨンドマックスなどの複合バットを使用すれば、飛距離は大幅に向上します。

Q3: 体重60kgでもホームランは打てますか?

打てます。NPBでも吉田正尚選手や近藤健介選手のように小柄でも長打を打つ選手が多数います。鍵はヘッドスピードと正確なミート位置です。体重60kgでもヘッドスピード140km/hを出せれば、打球速度150km/hに達し、ホームランが狙えます。むしろ体重に頼らない技術型スイングは、再現性が高く長期的に安定した長打を生み出します。

Q4: 高めのストレートを上手く打つコツは?

高めの球はバットを上から入れるイメージではなく、トップの位置を高くキープし、コンパクトに「叩く」感覚で打ちます。ヘッドが下がらないよう、肘の角度を90度以下に保つことが重要です。アタックアングルは通常より浅め(+5〜+8度)に設定し、ライナー性の長打を狙います。詳細は私の他のガイドも参考にしてください。

Q5: スランプに陥った時、フォームを変えるべきですか?

原則として、シーズン中の大幅なフォーム変更は推奨しません。スランプは技術ではなくタイミングや精神状態が原因のことが多く、フォーム変更はかえって長期化させます。タイミングの取り方を見直し、ティー打撃で感覚を取り戻す方が効果的です。詳細はバッティング スランプ脱出法完全ガイドを参照してください。

Q6: 一日に何スイングすればホームランが打てるようになりますか?

量より質です。意識を集中した質の高いスイング100〜200本の方が、漫然と振る500本より効果的です。プロ選手でも一日のスイング数は200〜400本程度です。重要なのは、各スイングで打球角度・打球速度・スイング軌道を意識することです。週5回×150スイングが現実的な目安です。

Q7: 女性でもホームランは打てますか?

はい、女子野球やソフトボールでも本塁打は可能です。女子プロ野球選手の平均ヘッドスピードは120〜130km/h、打球速度130〜140km/hで、これは小さめの球場ではフェンス越えが可能な数値です。基本的な技術原理は男性と同じで、下半身の使い方とスイング軌道の最適化が鍵です。

まとめ:ホームランへの道は明日から始められる

ホームランを打つことは、特別な才能の持ち主だけに許されたことではありません。打球速度、打球角度、スイング軌道、下半身の使い方、ヘッドスピード、メンタル、これら全ての要素を体系的に鍛えていけば、誰でも長打力を伸ばすことが可能です。NPBで活躍する村上宗隆選手、岡本和真選手、佐藤輝明選手も、皆かつては「ホームランを打ちたい」という一人の少年でした。彼らが積み重ねてきた努力と科学的アプローチは、私たち一般打者にも応用可能です。

2026年シーズンのNPBは、開幕からホームラン量産の流れにあります。この機会に本格的に長打力アップに取り組み、来シーズン、もしくは来年の試合で、自身の最初の本塁打を打つ目標を立ててみてはいかがでしょうか。本ガイドで紹介した8週間プログラムを実践すれば、確実に変化を実感できるはずです。あなたのホームランを心から願っています。グラウンドでお会いしましょう。

著者

田中 健太

田中健太は元NPBマイナーリーグ選手で、現在は公認バッティングインストラクター。15年以上の野球経験を活かし、バッティング技術、ピッチング指導、野球用品のレビューを専門としています。高校野球から社会人野球まで幅広い選手の指導実績があります。

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